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脱走対策、どこから手をつけるか迷いますよね。
ネットで調べると、ゲート、網戸ロック、ベランダネット、いろいろ出てきます。ただ、どれを先に買うべきかは、あまり書かれていません。
答えははっきりしています。玄関です。
室内にいた猫403匹の脱走経路を調べたデータがあって、74パーセントが「開いたドアかガレージ」からでした。窓や網戸やベランダは、全部合わせても2割ちょっと。
このセクションで分かること:対策の優先順位を決めるための、経路の内訳

2018年に『Animals』に出た調査(迷子猫1210匹ぶんの回答を分析したもの)に、脱走したときの状況を聞いた項目があります。
いなくなったとき室内にいた猫403匹のうち、経路が記録されていた370匹の内訳が、こうでした。
はっきりしています。玄関まわりに手を入れないと、他をどれだけ固めても意味が薄い。
ちなみに日本でも、ねこのきもちが2020年10月にアプリ内で行ったアンケート(回答400人)で、48パーセントの飼い主さんが「一時的に脱走されたことがある」 と答えています。2人に1人です。同じ調査では、76パーセントが何らかの対策をしているという結果も出ています。
アプリを使っている熱心な飼い主さんが対象なので、日本全体の数字とは少しずれるかもしれません。なお、この2つは別々の集計なので「対策していた人の48パーセントが脱走された」という意味ではありません。
猫が玄関に走るのは、たいてい日常的に玄関へ行っているからではありません。逆です。
ふだん来ない場所だからこそ、ドアが開いた瞬間の光と風と外のにおいが、強い刺激になります。宅配便、ゴミ出し、家族の帰宅。数秒開くだけで十分です。
実際、迷子になった猫の調査でも、95パーセントは「いつもの場所」からいなくなっています。これは外に出る猫も含めた1210匹全体の数字ですが、脱走は特別な日ではなく、いつもの家で起きているということです。
このセクションで分かること:玄関で効く対策と、買う前に測るところ

玄関対策の基本は、ドアと猫のあいだにもう1枚挟むことです。廊下とリビングの境でも、玄関の上がり口でもかまいません。とにかく「開けた瞬間に直線で走り出せない」状態をつくる。
挟むものは3つのどれかになります。
① 廊下やリビングのドアを閉める習慣
お金がかからず、いちばん確実です。帰宅・外出・宅配のたびに、手前のドアを閉めてから玄関を開ける。
ただ、習慣は家族全員が守らないと意味がないんですよね。小さい子どもがいる家や、来客の多い家だと、ここが崩れます。
② 突っ張り式のゲートや柵
穴を開けずに設置できるので、賃貸でも使えます。玄関前の廊下に渡すのが定番です。
③ 玄関まわりに置くパーテーション
廊下の幅が合わない、ドアがない間取りのときの選択肢です。
ここが大事なところで、先に測ってから買ってください。レビューを読んでいると、サイズが合わなくて買い直した、という声がよく出てきます。
体高の測り方は 【猫の体高】平均は何cm?肩までの測り方と目安 にまとめてあります。
このセクションで分かること:高さで止める設計がうまくいかない根拠と、代わりにどうするか

ここは正直に書きます。
「猫は体高の5倍くらい跳べる」という説をよく見ます。体高25センチなら1.2メートル超、という計算です。この記事でも最初はそう書こうとしたのですが、たどれる出典が見つかりませんでした。
実際に猫の最大ジャンプを測った研究はあります。2002年に『Journal of Experimental Biology』に出たもので、18匹の猫で踏み切り速度を測っています。ただこの研究が報告しているのは速度と、それを何が決めているかで、「体高の何倍」という形の数字は出していません。
わかったのは、踏み切り速度の個体差を説明できたのが 後ろ足の長さ と 除脂肪体重に対する体脂肪の量 の2つだった、ということです。伸筋の量や速筋線維の割合では説明がつきませんでした。
体脂肪については、論文が仕組みまで書いています。脂肪が多いと筋肉の割合が下がり、踏み切りの力が「スピードを出す」より「体を持ち上げる」ほうに食われてしまう。つまり 太っている子ほど不利 ということです。
ただ、これを対策の根拠にはできません。痩せている子が高く跳ぶなら、なおさら高さは頼れないので。
倍率の話はあきらめて、実測値を探したら見つかりました。
1985年に『Journal of Neurophysiology』に出た研究で、冒頭にこう書かれています。猫を訓練して、最大1.6メートルの高さに吊るした綿球に触れさせた と。
条件は読んでおいてください。訓練された実験室の猫で、柵を飛び越えた高さではなく、体を伸ばして的に触れた高さです。
ただ、ゲート選びにはむしろこちらが向いています。猫はゲートを飛び越えるというより、前足を掛けてよじ登るので。触れる高さに手がかかれば、上まで行かれます。
1.6メートル。 ここが、ひとつの目安になります。
体重が気になる方は 【猫の適正体重】肥満チェックと「1歳のときの体重」 をどうぞ。
なので、やることはシンプルです。その気になった猫を、高さで止めるのは無理だと思っておいたほうがいい。
売られているものを見てみると、はっきり2種類に分かれています。犬向けの一般的なペットゲートは 高さ80センチ前後。猫の脱走防止をうたっている製品は 150センチ以上で、天井まで突っ張る240センチ超のものもあります。
この差が、そのまま答えだと思います。猫向けに作っている側は、80センチでは止まらないと分かっているわけで。
もうひとつ、高さと同じくらい大事なのが柵の隙間です。 子猫や、体のしなやかな子は、横桟のあいだをすり抜けます。3〜4センチ間隔くらいまでのものを選んでおくと安心です。
このセクションで分かること:玄関の次に塞ぐ場所と、見落としやすい隙間

窓から11パーセント、破れた網戸から6パーセント。合わせると17パーセントで、玄関の次に多い経路です。
網戸は、閉まっていても出られます
猫は前足で網戸を横に滑らせます。器用な子は数秒です。それから、爪で網を破る。ポリプロピレンの網は、本気を出されると破れます。
窓の「少しだけ開けた」が通れます
換気で10センチ開けるのは、猫には十分な幅です。「頭が通れば体も通る」「ひげの幅で判断できる」といった目安をよく見かけますが、個体差もあるので、幅を目測で決めるのはおすすめしません。確実なのは、開く幅を物理的に固定してしまうこと。サッシ用の補助錠を使えば、それ以上開かなくなります。
ベランダは、脱走より落下が怖い
経路としては5パーセントですが、集合住宅だと結果が重くなります。手すりの隙間、エアコンの室外機から手すりへの足場、隣との仕切り板。このあたりを見てください。
ネットを張るのが確実ですが、賃貸だと取り付け方に制約が出ます。次の項で書きますね。
このセクションで分かること:原状回復を保てる範囲でできる対策
賃貸の脱走対策でいちばんよく聞くのが「ビスを打てない」という悩みです。ネジ穴やアンカー穴は下地の補修が必要になるので、借主の負担とされるのが一般的です(画鋲やピン程度の穴とは扱いが分かれます)。最終的には契約書の特約次第なので、迷ったら管理会社に聞くのが早いです。
穴を開けずに済む方法は、だいたいこの4つです。
いずれも、退去時に跡が残らないかを先に確認するのが安心です。心配なら、設置前の状態を写真に撮っておくと後で揉めにくいです。
あと、見落としがちなのが管理規約。ベランダは共用部分の扱いになっていることが多く、ネットの常設や固定が禁止されている物件があります。張る前に規約を見ておいてください。
対策していても起きます。さきほどのアンケートでも、2人に1人が脱走を経験していました。
出てしまったときは、遠くを探す前に足元からです。完全室内飼いの猫は、半数が39メートル以内で見つかっています。手順は 【猫が脱走した】1210匹のデータでわかる探す順番と距離 にまとめました。
このセクションで分かること:脱走対策でよく出てくる疑問
経路の内訳からいくと玄関です。室内にいた猫の74パーセントが、開いたドアかガレージから出ています。玄関を二重にできる見込みがないなら、網戸ストッパーのような数百円のものから始めても、窓と網戸で17パーセントぶんは減らせます。
高さで止める前提だと、効きません。犬向けの一般的なゲートは高さ80センチ前後で、猫には飛び越えられます。猫の脱走防止をうたう製品は150センチ以上で、天井まで突っ張るタイプもあります。選ぶならそちら。柵の隙間が3〜4センチ以下かも見てください。
脱走そのものは防げません。それに、ペットショップやブリーダーから迎えた子のチップには、お店やブリーダーの情報が登録されたままです。自分の情報に変更する「変更登録」は環境省の制度上の義務で、やらないと法律違反になると明記されています。オンライン申請なら400円。保護されて読み取ってもらえても、登録が前のままだと連絡が来ません。
むしろ逆だと思っています。外に慣れていない猫は、出てしまったときにパニックになって、狭くて暗いところに入り込みます。外に出ている猫より近くにいる反面、こちらから呼んでも出てこないことが多いです。
減る効果はありますが、それでなくなるわけではありません。さきほどの1210匹の調査でも、迷子になった猫の96パーセントは去勢・避妊済みでした。手術をしたから安心、とは考えないほうがよさそうです。
日本のアンケートでは2人に1人が経験しています。完璧を目指すより、いちばん多い経路から順に、できるところまでで十分だと思います。
参考にした資料
※本記事に掲載している画像の一部は、Google Geminiで生成した画像をそのまま使用、または編集・加工して使用しています。生成された内容は目視で確認し、整合性に問題がないことを確認したうえで掲載しています。
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