


猫の誤食のなかで、 玉ねぎがいちばん厄介な理由をひとつ挙げるなら 「食べた直後は、たいてい元気」 だからです。
チョコレートなら2時間、 ユリなら1〜3時間で何かしら症状が出ます。 でも玉ねぎは違います。 症状が出るのは1日〜数日後。 その間に赤血球が静かに壊されていきます。
だから 「昨日ハンバーグを少し食べたけど、 今日も元気だから大丈夫」 という判断が、 いちばん危ない。
この記事では、 体重別の中毒量、 症状が出る時期、 そして 加熱しても毒性が消えない という落とし穴までまとめました。
順番にお話ししていきますね。
> このセクションで分かること:中毒のしくみと、加熱が効かない理由
玉ねぎに含まれる 有機チオ硫酸化合物(アリルプロピルジスルフィドなど)が、 猫の赤血球の中のヘモグロビンを酸化させます。
すると赤血球の中に ハインツ小体 という塊ができます。 この塊が飛び出した赤血球は、 脾臓の細い血管を通るときに壊されてしまう。 これが 溶血性貧血 です。
さらに、 壊れた赤血球の色素が腎臓に負担をかけて、 急性腎障害 につながることもあります。
猫は犬よりも感受性が高い ので、 犬なら平気な量でも中毒を起こします。 「犬は大丈夫だったから」 は通用しません。
ここが最大の落とし穴です。
原因物質は 加熱で壊れません。 つまり、 生の玉ねぎだけを避けても意味がないということ。
スープを少し舐めただけでも成分は入ります。 具を取り除いたから安心、 とはなりません。
さらに、 1回の大量摂取だけでなく、 少量を繰り返し食べることでも中毒は起こります。 「毎回ほんの少しだけ」 を続けていると、 影響が積み重なっていきます。
食卓の誤食という点では 猫がマヨネーズを舐めたとき と同じ入り口ですが、 危険度はこちらのほうが上です。
> このセクションで分かること:どのくらいで危険域に入るか

中毒量の目安は 体重1kgあたり5g とされています。
| 猫の体重 | 中毒量の目安 | 玉ねぎでいうと |
|---|---|---|
| 3kg | 約15g | 中玉の13分の1 |
| 4kg | 約20g | 中玉の10分の1 |
| 5kg | 約25g | 中玉の8分の1 |
玉ねぎの中玉は1個およそ200g。 つまり 4kgの猫なら、薄切り2〜3枚で危険域 です。 ハンバーグに練り込まれているみじん切りなら、 ひと口分でも届きます。
ただし、 これは 「これ以下なら安全」という線ではありません。 体調や個体差で影響の出方は変わりますし、 少量でも繰り返し食べていれば蓄積します。 表より少なくても、 心配なら電話してください。
> このセクションで分かること:遅れて出るからこその危険

大量に食べた場合は1日以内に出ることもありますが、 1日〜数日後に現れるのが一般的 とされています。 このタイムラグのせいで、 飼い主も獣医師も「あのとき食べたもの」と結びつけにくいのが厄介なところです。
ちなみに、 体や吐く息から玉ねぎの匂いがする ことがあります。 思い当たる節がないのに猫がネギ臭いときは、 隠れて何か食べている可能性を疑ってください。
血色尿と、歯ぐきの白さ が特に分かりやすいサインです。 おしっこの色が赤っぽい、 歯ぐきをめくったら血の気がない。 このどちらかが出たら、 夜中でも救急に連絡してください。
そして繰り返しになりますが、 直後に元気なのは当たり前 です。 症状がないことは「食べていない」証明にはなりません。 心当たりがある時点で相談してください。
> このセクションで分かること:同じ仲間の食材と、まぎらわしい食材

同じ成分を含むので、 どれも同じ中毒を起こします。
にんにくは風味づけで少量しか使わないぶん油断しがちですが、 1kgあたり5g相当で毒性が出る と報告されていて、 これは玉ねぎとほぼ同じ水準です。 ガーリックトーストのかけら、 餃子のひと口にも気をつけてください。
そしてもうひとつ。 乾燥させても粉末にしても毒性は残ります。 ガーリックパウダーやオニオンパウダー、 コンソメの素なども対象です。 むしろ粉末は水分が抜けているぶん、 少量に成分が凝縮されています。
まぎらわしいのですが、 ユリ根はネギ属ではなくユリ属 です。 溶血性貧血ではなく、 急性腎不全 を起こします。
つまり 毒性の種類がまったく違う。 どちらも危険ですが、 症状も治療も別ものです。 ユリのほうは花粉や花瓶の水でも中毒になるので、 猫がユリを食べたとき にまとめました。
病院に電話するときは、 「ネギ類」なのか「ユリ」なのか をはっきり伝えてください。
> このセクションで分かること:連絡するまでの数分の行動
料理名を伝えるのが地味に効きます。 「味噌汁を舐めた」 と言えば、 玉ねぎの量をおおよそ見積もってもらえます。
チョコレートと同じく、 玉ねぎにも 解毒薬はありません。 治療は、 胃の中のものを出す・貧血を治療する・点滴で支える、 という組み立てになります。
そして 催吐処置が有効なのは、 摂取からおよそ1時間以内。 チョコレートの6〜8時間と比べてもかなり短いので、 「明日の朝いちばんで」 では間に合いません。 早く受診できたほど、 吸収を抑える処置の選択肢が残ります。 猫がチョコレートを舐めたとき と考え方は同じです。
> このセクションで分かること:玉ねぎまわりで迷いやすいポイント
大丈夫ではありません。 原因物質は煮汁に溶け出しているので、 具がなくても中毒は起きます。 味噌汁やスープを舐めた場合も同じ扱いです。
猫は犬より感受性が高く、 少ない量で中毒を起こします。 同居犬が平気だったからと安心しないでください。
市販のキャットフードにネギ類が使われることはありません。 気をつけるのは人間の食べ物と、 手作りごはんのほうです。
症状は1日〜数日後に出るのが一般的なので、 まだ油断できない時期です。 おしっこの色と歯ぐきの色を確認して、 気になるなら受診してください。
手についた程度の量で中毒になることは、 まず考えにくいです。 ただ習慣にはしないよう、 調理後は手を洗ってからにしてください。
猫と玉ねぎでおさえたいのは、この4つです。
いちばんの対策は、 ネギ類を使った料理を食卓に置きっぱなしにしない こと。 洗う前の食器も含めてです。
なお、 中等量以下の摂取であれば、 ネギ類を食べるのをやめることで貧血が自然に回復するケースもあるとされています。 過剰に絶望する必要はありません。 ただ それを判断できるのは検査をした獣医師だけ なので、 やはり確実なのは早めに相談することです。
この記事の数値は、 左向敏紀氏(日本獣医生命科学大学名誉教授)による ペット栄養学会誌「与えてはいけない食べ物 その1:ネギ属(Allium spp.)植物」(26巻2号, 2023年)を参照しています。
心当たりがあるなら、 症状がなくても、 かかりつけの動物病院に相談してくださいね。 素人判断は禁物です。
※本記事に掲載している画像の一部は、Google Geminiで生成した画像をそのまま使用、または編集・加工して使用しています。生成された内容は目視で確認し、整合性に問題がないことを確認したうえで掲載しています。
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