


子猫を探していると、 かならず出てくるのが「遺伝子検査済み」という言葉。
で、 これ。 検査済みと言われたときに、何を聞き返せばいいのか が、 どこにも書いてないんですよね。
実は猫の遺伝子検査は、 結果の読み方で3種類に分かれます。 そこを分けないまま「検査してますか?」と聞いても、 ほしい答えは返ってきません。
そして スコティッシュフォールドだけは、別の話 になります。 ここは後半で。
> このセクションで分かること:自分の迎える猫種に、どの検査が要るか

国内の検査会社1社が公開している猫種別リストから、 よく迎えられる猫種を抜き出しました(VEQTA の例)。
気づくと思うんですが、 PKDとPK-Defはほとんどの猫種に入っています。 雑種も対象です。 純血種だけの話じゃないんですね。
あと、 海外のラボでしか受けられない項目もあります。 ペルシャの網膜の病気(PRA-pd)やノルウェージャンの糖原病(GSD IV)あたりがそうで、 国内のリストには載っていません。 日本のブリーダーさんに「PRA-pdの結果を見せて」と言っても、 持っていないのが普通です。
> このセクションで分かること:同じ「陽性」でも意味がまったく違う

代表が PKD(多発性のう胞腎)。
キャリアがないのは、 変異を2つ持った子が 生まれてこられない から。 だから生きているPKDの猫は全員が「1つ持っている=発症する側」になります。
ただ、 腎臓にのう胞ができることと、 腎不全の症状が出ることは別です。 発症は 4歳以上、平均7歳ごろ。 最初のサインは水を飲む量とおしっこが増えることなので、 猫が水を飲む量|目安と測り方、多飲のライン を見ておいてもらえると早く気づけます。
PK-Def、PRA、GM1・GM2 がこちら。 潜性(劣性)です。
つまり 片方の親がキャリアでも、もう片方が陰性なら、発症する子は生まれません。 ここ、 わりと知られていないところです。 キャリアの猫を一律に悪者にしなくていい。
ちなみにPK-Defは生後2〜3か月で貧血が始まって、 症状として出てくるのは5、6か月〜3歳ごろとされています。
HCM(心臓)と OCD(骨) がこれです。 メインクーンのHCMだと、 こうなります(カリフォルニア大学デービス校 獣医遺伝学研究所 より)。
ラグドールだと、 2つ持っている子は 1〜2歳 という早い時期に重い症状が出やすく、 1つの子はほとんど症状が出ないまま過ごせることが多いとされています(同研究所のラグドールのページ)。 発症年齢の目安は、 メインクーンで平均5〜7歳、 ラグドールで平均2歳。
そして大事なのがここ。 遺伝子検査が陰性でも、HCMにはなります。 この変異は原因のひとつにすぎないので、 検査は心エコーの代わりになりません。
> このセクションで分かること:見た目で判断できない、という最近わかったこと

スコの折れ耳は TRPV4という遺伝子の変異 で起きます。 顕性で、 変異を1つ持っていると耳が折れます。
で、 この変異は耳だけでなく 関節の軟骨にも効きます。 これが骨軟骨異形成症(OCD)で、 足首に骨の瘤ができて、 足を引きずったり動かなくなったりする病気です。
なので 折れ耳同士をかけ合わせない のが大前提になります。 スコの病気の話は スコティッシュフォールドがなりやすい病気|5つの代表疾患 にもまとめました。
麻布大学とアニコムの共同研究で、 国内8,610頭・14品種を調べた結果が2026年に出ています。
スコティッシュフォールドで 2つ持っている個体の割合は、2017年の14.2%から2024年には1.9%へ 有意に下がっていました。 一方で1つ持っている個体(39.3%→51.5%)と、 変異なし(46.4%→46.6%)はほとんど変わっていません。
検査が使えるようになった時期と重なっているので、 検査を見ながら交配を避けている結果 だろう、 とされています。
ここが新しい話です。
同じグループが2026年に出したもう1本の研究で、 変異を1つ持っている猫55頭のうち7頭(12.7%)が、子猫のときは折れ耳だったのに、成長すると見た目は立ち耳のようになる ことが確認されました。 「隠れ折れ耳」と呼ばれています。
耳は野生型の立ち耳より小さめなんですが、 その差は見た目では正確に見分けられない とされています。
つまり、 立ち耳に見える親でも変異を持っていることがある。 スコだけは見た目で判断できないので、 TRPV4の検査結果を見るしかありません。
この変異、 スコ以外でも検出されています。 アメリカンカール、 ノルウェージャンフォレストキャット、 マンチカン、 ミヌエット。 マンチカンでは2つ持っている個体が3頭 確認されました。
過去にスコと交配された歴史の影響では、 とされています。 短足猫種の関節の話は 短足猫種の関節ケア完全ガイド にもまとめています。
> このセクションで分かること:ブリーダーさんに何と言えばいいか

「遺伝子検査してますか?」だと「してます」で会話が終わります。 タイプごとに聞くことを変えてみてください。
対面でこれを切り出すのは、 正直ハードルが高いです。 なので見学をお願いするときに、 一緒に書いてしまうのがおすすめ。
> 見学をお願いしたいです。 あわせて、 ご両親の遺伝子検査の結果を拝見できますでしょうか。
これだけで大丈夫です。 きちんと検査しているブリーダーさんほど、 聞かれるのを嫌がりません。 むしろ 出してくれるかどうかで、だいたい分かります。
結果票はPDFか書面で出てきます。 見るのは4点だけ。
メインクーンなのにPKDの結果だけ、 みたいなことがあるので、 項目名は見ておいてください。
ちなみに「出てこなかったら考え直す」は、 ブリーダーさんから迎える場合の話です。 保護猫や、繁殖元の情報を持っていないペットショップでは、そもそも結果が存在しません。 その場合は迎えたあとに自分で調べる、 で大丈夫です。
> このセクションで分かること:いくらで、何をするのか

国内の検査会社1社の料金表です(VEQTA、 2026年10月時点・税込)。 会社によって違うので、目安として見てください。
項目を増やすほど1項目あたりは安くなるので、 猫種に関係する2〜3項目で 1万円前後。 動物病院経由だと、 ここに診察料が乗ります。
採血も麻酔もなし。 猫が嫌がるのは、 口に綿棒を入れられる15秒くらいです。
「もう迎えちゃった」場合も同じ方法で調べられます。 結果が分かれば検診の間隔を決められるので、 分からないまま心配し続けるよりずっとラク ですよ。
PKDは超音波でも分かって、 こちらは 生後10か月を過ぎていれば 確実です。 スコのOCDはレントゲンで、 2つ持っていれば生後7週、 1つなら生後6か月ごろから分かります。
> このセクションで分かること:結果が出たあとの動き方
「陽性=もうだめ」ではありません。 タイプごとに、 やることが決まります。
HCMについてひとつ補足を。 家でできる見張りとして 猫の呼吸数の数え方|寝ているときが30回を超えたら があるんですが、 これは 「悪くなったときに最速で気づく」ための方法 です。 HCMそのものを見つけるのは心エコーなので、 呼吸数を数えているから検診はいい、 とはならないんですよね。 役割が違います。
> このセクションで分かること:検査の限界と、正直なところ
それでも検査に意味があるのは、 数字が実際に動いているから です。
国内の大規模なデータでは、 PKDの原因となる変異の頻度が 42.6%減少。 スコの重いタイプも 14.2%から1.9% まで下がりました。
減った理由は「検査して、 その結果を見ながら交配を避けている」から。 つまりこの恩恵は、 検査しているところから迎えた場合にだけ効きます。 聞く意味がある、 というのはそういうことです。
できます。 かかりつけで相談すると検査会社に取り次いでもらえることが多いです。 その場合は検査料に診察料が乗ります。 飼い主さんが直接申し込める会社もあるので、 どちらでも大丈夫ですよ。
あります。 PKDとPK-Defは雑種も検査対象です。 ただ優先度でいうと、 まずは健康診断とワクチンのほうが先かなと思います。
お店によります。 繁殖元の情報を持っていないこともあるので、 その場合は「繁殖者さんに確認して教えてもらえますか」とお願いするのが現実的です。 出てこなければ、 迎えたあとに自分で調べれば大丈夫。
そうとは言えません。 見た目は立ち耳でも変異を持っている「隠れ折れ耳」が、 変異を持つ猫の1割強で確認されています。 耳の形ではなくTRPV4の検査結果で判断してください。
遺伝子検査は離乳したあとならいつでも大丈夫です。 画像で調べる場合は、 PKDの超音波が生後10か月以降、 スコのレントゲンは生後7週〜6か月ごろからになります。
全部を聞き出さなきゃ、 と気負わなくて大丈夫です。 「ご両親の遺伝子検査の結果、 拝見できますか」の一言だけでも、 かなりのことが分かります。
結果の読み方や検診の間隔については、 かならずかかりつけの動物病院に相談してくださいね。 自己判断は禁物です。
※本記事に掲載している画像の一部は、Google Geminiで生成した画像をそのまま使用、または編集・加工して使用しています。生成された内容は目視で確認し、整合性に問題がないことを確認したうえで掲載しています。
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