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ペルシャのあの毛。 抱き上げたときの、 ふわっとしているのに意外と重いあの感触、 たまらないですよね。
で、 そのペルシャが「後悔」で検索されている。 出てくる後悔の中身が、 わりとはっきり2つに分かれていました。 ひとつは「毎日の手間を甘く見ていた」。 もうひとつは「毛玉になってから、お金で解決できると思っていた」。 この記事では、 その両方を数字で見ていきます。
先に言っておくと、 ペルシャには 太りにくい という、 はっきりした長所もあります。 そこは後半で。
> このセクションで分かること:3,235頭の診療データで、実際に何が多かったか

イギリスの一般の動物病院の診療記録を使って、 ペルシャ 3,235頭を1年分まとめて調べた研究があります(O’Neill ら、Scientific Reports、2019年)。
そのうち 2,099頭(64.9%) に、 なにかしらの病名が記録されていました。 3頭に2頭です。
で、 記録された病名の1位がこれ。
| 順位 | 記録された内容 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 毛・被毛のトラブル | 12.7% |
| 2位 | 歯周病 | 11.3% |
| 3位 | 爪の伸びすぎ | 7.2% |
| 4位 | 目やに・涙 | 5.8% |
病名が並ぶと思って見ると、 ちょっと拍子抜けするラインナップかもしれません。 でも、 ここがペルシャのいちばん現実的なところなんです。 大きいくくりで見ても皮膚・毛17.9%、 目15.3%、 歯12.3%。 上位3つ全部が顔まわりと毛 でした。
長毛だからブラッシングが必要、 というのは想像がつくと思います。 ただ、 ペルシャの場合はもう1段あって。
猫が自分で毛づくろいをするとき、 実は 犬歯(牙) を使って毛をすいています。 で、 ペルシャは鼻が短い猫種。 短くなるほど上あごが上向きに回転するので、 犬歯が生える角度も変わって、 いちばん短いタイプでは ほぼ水平に近い向き に生えてきます。 こうなると、 毛をすく道具として使えないんです。
つまりペルシャは「毛が長い」×「自分で手入れする道具が使いにくい」の掛け算。 だから毛が固まる。 飼い主さんのブラッシングが、 おまけじゃなくて前提になります。
これ、 意外と盲点でした。 爪の伸びすぎが7.2%で3位。
猫は爪とぎで古い爪をはがしますが、 ペルシャはがんがん走って爪をとぐタイプじゃないので、 それが追いつきません。 伸びすぎた爪は肉球に食い込みます。 月1〜2回、 前足の先だけでも見てあげてください。
> このセクションで分かること:サマーカットの実際の値段と、頼めなくなる条件

「毎日ブラッシングなんて無理。 ひどくなったらサマーカットしてもらえばいいでしょ」
…この作戦、 実は詰みやすいんです。 しかも値段の話じゃなくて。
東京・中野区にある猫専門サロン1店の料金表です(2026年9月時点)。
シャンプーだけで年2回なら2万5,000円、 サマーカットまで入れると年4万円前後。 「数か月おきに」を真に受けて年3〜4回通うと、 5万〜8万円になります。 出せない金額ではないけれど、 想定していないと痛いところです。
同じ料金表に、 こういう条件が並んでいました。
読んでいて、 うわ、 と思ったのがここでした。
「毛玉ができたから明日カットしてもらおう」が、 そもそも初回では通らない。 そして 子猫のうちにシャンプーとドライヤーに慣らしていないと、1歳を過ぎた時点で受けてくれる店が一気に絞られます。
しかも、 もつれてから駆け込むと「長さを残す」選択肢がなくなって、 バリカンで一律に短くするしかなくなります。 あの毛に惹かれて迎えたのに、 そこが選べなくなるのは、 けっこう切ないです。
サロン側の説明が的を射ていました。 短くしても毛は抜け続けるし、 よほど短くしなければまたもつれる。 カットは毎日のケアの代わりにはならないんです。
ちなみに、 これはあくまで 今回見た1店の条件 です。 お店によってルールは違うので、 通える範囲のサロンの条件は先に確認しておいてください。 そして サロンで断られても行き止まりではありません。 高齢だったり持病があったり、 触らせてくれない子は、 動物病院で(必要なら鎮静をかけて)カットしてもらえます。 ひどい毛玉は皮膚が引きつれて痛いので、 放置がいちばんまずいです。
順番が逆だと、 あとから効かないんです。 地味だけど、 ここがペルシャで一番大事な準備かもしれません。
そして毎日のブラッシングは1日5分で足りますが、 場所を外すと意味が薄くなります。 固まりやすいのは、 猫が自分で届きにくいところ です。
ここだけは毎日コームを通してあげてください。 背中はきれいなのに脇が固まっている、 というのがよくあるパターンです。
道具の選び方は 猫の換毛期グッズ|試して良かったブラッシング道具5選 に、 長毛種の換毛期そのものの話は 長毛種の換毛期|猫種別の抜け毛対策と毛玉の防ぎ方 にまとめています。
> このセクションで分かること:なぜ毎日拭くことになるのか、どこからが受診か

ペルシャで調べると「目やに」がよく出てきます。 ただ、 これを「汚れ」や「体調不良」として読むと、 ずっと解決しないままになります。
涙は本来、 目のふちにある小さな穴から鼻のほうへ流れて、 鼻の中に抜けていきます。 その通り道が鼻涙管。
鼻が短くなるほど上あごが上向きに回転するので、 この管が曲がってねじれます。 それだけではなく、 重度の短頭タイプでは 目側の入口が、鼻側の出口より低い位置 になってしまうんです。
つまり涙は、 重力に逆らって登らないと排出されない。 登れないので、 あふれて顔に流れます(Schlueter ら 2009年、 UFAW の遺伝的健康情報 より)。
これ、 治すという話ではないんですよね。 構造なので。
涙が流れっぱなしになると、 目と鼻のあいだの毛が濡れたままになります。 そこが茶色く染まって、 皮膚がふやけて、 炎症や感染につながります。
だから毎日拭く。 目を治すためではなく、 その下の皮膚を守るため です。 この理解でいると、 拭いても涙が減らないことにがっかりしなくなります。
やわらかいコットンをぬるま湯で湿らせて、 目のふちではなく 下の毛と皮膚 をそっと押さえてあげてください。 ゴシゴシはNGです。
ペルシャは目のトラブルが多い猫種です。 治りにくい角膜の傷を集めた研究では、 対象になった猫の 3分の1がペルシャ でした。 角膜分離症(黒目に黒い点ができる病気)も、 猫種のなかでペルシャが最も多いと報告されています。
そしてもうひとつ、 大事なこと。 ここまで「構造だから治らない」と書いてきましたが、 ペルシャの涙のなかにも、治療できる原因は普通に混ざります。 まつ毛が目に当たっている、 まぶたが内側に巻いている、 結膜炎、 猫風邪、 鼻涙管がつまっている。 「ペルシャだからこういうもの」で全部片づけると、 治せるものを見逃します。
見分け方はシンプルで、 いつもと同じなら構造、急に変わったら別の原因 です。 こういうサインが出ていたら、 涙拭きの範囲を超えています。
最後のひとつは、 その日のうちに動物病院へ。 短頭種の猫は角膜の感覚が鈍いので、 痛そうに見えなくても進んでいる ことがあります。
> このセクションで分かること:同じペルシャで顔が違う理由と、見分け方
ペルシャの写真を並べて見ると、 鼻の位置がぜんぜん違う子がいます。 あれ、 気のせいじゃありません。
短頭(鼻ぺちゃ)の度合いは、 猫でも4段階に分類されています。 大事なのは、 見た目で判断できる線がある ことです。
重度以上になると、 呼吸・目・歯・毛づくろいの問題が ほぼセットで出る とされています。 「ペキフェイス」「ウルトラタイプ」と呼ばれるのがこの層。 反対に鼻の高さが残っているタイプが「ドールフェイス」「クラシック」です。
子猫を見に行ったら、 横から顔を見て 鼻の先と下まぶたの高さを比べる。 これだけで、 その子が一生つき合う手間の量がだいぶ変わります。
短頭種の猫は、 鼻の穴そのものが左右どちらも狭くなります。 さらに短頭種の猫を調べた研究では 20% に、 鼻の中の骨(鼻甲介)が本来ない位置まで伸びていたそうです。 いびきをかく、 起きているときも鼻の音がする、 が出てくるのはこのためですね。
猫は汗で体温を下げられないので、 呼吸で熱を逃がします。 その通り道が狭くて、 そのうえ毛が長くて厚い。 ペルシャの夏は、 他の猫種より条件が悪いんです。 室温は留守番中も28℃を超えさせない、 脇とお腹の内側の毛だけ短くしてもらう。 このあたりが効きます。
そして 口を開けて呼吸していたら、それは緊急。 猫が口で呼吸するのは、 犬とちがって普通のことではありません。 数え方は 猫の呼吸数の数え方|寝ているときが30回を超えたら に、 夏の見分け方は 猫の夏バテ症状|8つのサインと熱中症との見分け方 にまとめました。
> このセクションで分かること:PKD1の仕組みと、ブリーダーさんへの聞き方

ここが、 ペルシャでいちばんお金と時間に効いてくる話です。
腎臓に水の入った袋がたくさんできて、 だんだん腎臓の働きを奪っていく遺伝病です。 猫でもっとも多い遺伝病と考えられています。
「ペルシャの3匹に1匹」という数字を見かけると思います。 これは 36〜49% という報告からきていて、 遺伝子検査が広まる前 の調査です。 いまは下がってきていて、
ここで大事なのは、 下がった理由が「検査して、陽性の子を繁殖から外している」ことだ という点です。 つまりこの恩恵は、 検査しているところから迎えた場合にだけ効きます。 検査結果を見せてもらえないなら、 その子にとっての確率は古い数字のままだと思ったほうがいいです。
PKD1は 顕性(優性)遺伝 です。
ただ、 ここは正確に分けておきたいところで。 遺伝子を持っていれば 腎臓に袋(のう胞)はできます。 生後12か月より前にできはじめることが多いです。 でも、 それが 腎不全という症状として出てくる時期には幅があります。 慢性腎臓病を発症した猫の平均年齢は7歳という報告があって、 一方で最後まで大きな症状が出ない子もいます。
なので「陽性=もうだめ」ではありません。 ただ「元気だから大丈夫」でもない。 年1〜2回、血液と尿を見ておく 前提で迎える、 が現実的なところです。
(出典:カリフォルニア大学デービス校 獣医遺伝学研究所、 UFAW 遺伝的健康情報)
腎臓の働きが落ちると、 おしっこを濃くできなくなります。 だから 水を飲む量とおしっこの量が増える。 これが最初のサインです。
うちも長毛の子がいるので水飲み場は複数置いていますが、 「増えた」に気づくには、 ふだんの量を知っているかどうか がすべてなんです。 目安と測り方は 猫が水を飲む量|目安と測り方、多飲のライン にまとめました。
ペルシャには、 もうひとつ遺伝子検査ができる病気があります。 進行性網膜萎縮(PRA-pd)、 網膜が薄くなって目が見えなくなる病気です。
こちらは 潜性(劣性)遺伝 で、 PKD1とは仕組みがちょうど逆。 1つだけ持っている子は発症せず(キャリア)、 キャリア同士 をかけ合わせたときに 25% の確率で発症する子が生まれます。
始まるのが早くて、 生後5週ごろに始まり、生後16週ごろには大きく進んでいる とされています。 飼い主さんが気づくきっかけは「目の動きがぎこちない」「目が光って見える気がする」あたり。
同じ「遺伝子検査してますか?」では足りないんです。
検査そのものは、 超音波なら 生後10か月以降 が確実で、 遺伝子検査は離乳後からできます。 イギリスの猫種団体では、 繁殖に使うペルシャのPKD検査が求められています。
聞き方としては「両親のPKD1とPRA-pdの結果、 見せてもらえますか」がいちばん通じます。 出てこなかったら、 それが答えです。
もう迎えたあとの方へ。 ここまで読んで焦ってしまったらすみません。 でも、 いまからでも確認はできます。 遺伝子検査は 頬の内側を綿棒でこするだけ、 麻酔もいりません。 超音波も 生後10か月を過ぎていれば はっきり分かります。 結果が分かれば、 検診の間隔を決められます。 分からないまま心配し続けるより、 ずっとラクですよ。
ちなみにPKD1は、 ペルシャから派生した猫種にも広がっています。 ブリティッシュショートヘアの後悔|抱っこ嫌いと5つの注意点 にも書きました。
そして3,235頭の研究では、 死因が分かった猫のうち 腎臓の病気が23.4% で1位。 2位の腫瘍が8.5%なので、 かなり突き出ています。
ペルシャの寿命を調べると 13.5年 と 10.93年 の両方が出てきます。 どちらも本当で、 数え方が違うだけです。
後者の研究では雑種が11.89年なので、 ペルシャは短めに見えます。 ただペルシャの数字には幅(95%信頼区間 9.63〜12.23年)があって雑種の範囲と重なるので、 「ペルシャだから短い」と読むのは正確ではありません。
同じ研究で、 3歳より前に亡くなるオッズが雑種の1.83倍 という数字も出ています。 ただしこれは ペルシャ単独ではなく、純血種をひとまとめにした傾向 です。 猫全体の寿命の話は 猫の平均寿命|長生きする子の共通点と今日からできる5つの工夫 にまとめています。
成猫のペルシャの平均体重は 3.9kg と、 猫全体で見ると小さめ。 そして太りすぎの猫を調べた研究では、 ペルシャとバーマンは太りにくい猫種 だったと報告されています。
太りすぎは糖尿病や関節の問題に直結するので、 ここで苦労しないのはかなり大きいです。 太りやすい猫種と対照的なので、 アメリカンショートヘアの後悔|太りやすさと5つの注意点 と読み比べるとちょっとおもしろいですよ。

ここまで読んで「うん、 いける」と思えたなら、 ペルシャはほんとうに得がたい猫です。 あの毛の手触りは、 やっぱり代わりがないので。
毎日が理想です。 全身ではなく、 脇・内もも・お尻・あご下だけなら5分。 週末にまとめる方式は毛玉になりやすいので、 短くても毎日のほうがラクですよ。
涙や皮脂で濡れたままになっている場所が、 酸化して赤茶色に染まります。 拭いて乾かすのが基本ですが、 急に広がったときは皮膚炎や猫カビのこともあるので受診を。 ペルシャは皮膚の真菌症にも弱い猫種です。
必須ではありません。 ただ脇とお腹の内側だけ短くしてもらうと、 夏の熱が抜けやすくてブラッシングもラクになります。 全身を刈るかは、 もつれ具合と本人の性格を見てサロンと相談を。
毛の手間は減ります。 ただ顔の構造は同じなので、 涙・呼吸・歯の話はそのまま残ります。 PKD1もペルシャ由来で共通です。
2026年9月末にブリーダー仲介サイトでペルシャを見たところ、 9万8,000円から60万円まで、 85件が出ていました。 中心は10万〜28万円台。 ただ値段より、 両親の検査結果が出てくるか のほうが、 あとで効いてきます。
手間の多い猫だというのは、 隠さずに書きました。 そのうえで、 ペルシャと暮らしている人から必ず出てくる言葉が「静かで、 そばにいる」なんです。 毎日のケアが、 そのままコミュニケーションの時間になる猫でもあります。
涙・呼吸・水を飲む量で気になることが続くようでしたら、 必ずかかりつけの動物病院に相談してくださいね。 素人判断は禁物です。
※本記事に掲載している画像の一部は、Google Geminiで生成した画像をそのまま使用、または編集・加工して使用しています。生成された内容は目視で確認し、整合性に問題がないことを確認したうえで掲載しています。
猫と犬と暮らす毎日に、
ちいさな発見を。
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