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子猫の体重を毎日はかっていて、昨日と同じ。あるいは減っている。
この状況で検索すると、だいたい「個体差があります」「様子を見ましょう」と書いてあります。間違ってはいないんですが、いま知りたいのはそこじゃない んですよね。
何グラム増えていれば大丈夫で、どこからが病院なのか。
探したら、ありました。5,504匹の子猫を追いかけて、生後1日・2日・7日それぞれで「ここを下回ると死亡率が上がる」という線 を出した研究です。日本語のページでは見かけなかったので、まとめます。
順番に見ていきます。
このセクションで分かること:自分がどちらの状況にいるのか

同じ「体重が増えない」でも、中身がぜんぜん違います。
ひとつめ:生後3週くらいまでの子猫
まだ目も開いていない、あるいは開いたばかり。自分で体温を保てず、ミルクが要る時期です。
この時期の「増えない」は、数時間から1日で判断する話 になります。急ぎます。
ふたつめ:生後2か月を過ぎた子猫
自分で食べて走り回っている時期。この時期の「増えない」は、食べムラや成長のペースの揺れであることが多く、1日単位で慌てる話ではありません。
5,504匹を追いかけた研究で、生後2か月までに亡くなった子猫は 7.4%(408匹)。そのうち 82%(335匹)が生後21日まで に集中していました(Mugnier ら、Frontiers in Veterinary Science、2024年)。
危ないのは、ほぼ最初の3週間なんです。
この2つを分けずに「個体差があります」とまとめているページが多いのですが、生後5日の子を育てている人には、その答えは使えません。
ここから先は、まず 生後3週までの話 を書きます。生後2か月以降の方は、後半まで飛ばしてもらって大丈夫です。
このセクションで分かること:生後1日・2日・7日それぞれの「下回ると危ない」数字

さきほどの研究、もう少し紹介します。フランスの193のキャッテリーで生まれた 15猫種・5,504匹(1,499腹)の記録を集めたものです。生まれた日から7日目までの体重と、生後2か月時点で生きているかどうかを突き合わせています。
そして 「ここを下回った子は死亡率が何倍になるか」 を計算して、具体的な線を出しました。これがほしかった数字です。
先に、この研究の限界を書いておきます。対象は純血種の子猫だけ です。保護された雑種の子猫に、そのまま当てはまる保証はありません。
ただ、この研究の数字は グラムではなく「出生体重に対して何%」 で出されています。出発点の体重に合わせて伸び縮みする形なので、雑種の子にも移しやすい数字ではあります。そこは踏まえて読んでください。
ちなみにこの5,504匹の出生体重は、中央値101g(真ん中の半分が89〜115g)。いちばん軽い子が36gのペルシャ、いちばん重い子が182gのノルウェージャンでした。
増え方は「出生体重に対して何%増えたか」で見ます。表の見方は、左の期間で右の%を下回ったら要注意、ということです。
| 期間 | この線を下回ると要注意 | 下回った子の死亡率 | 上回った子の死亡率 |
|---|---|---|---|
| 生まれた日 → 1日目 | +1.1% | 8.8% | 3.2% |
| 1日目 → 2日目 | +1.3% | 13.4% | 2.5% |
| 生まれた日 → 2日目 | +1.7% | 13.8% | 2.9% |
| 2日目 → 7日目 | +56% | 3.1% | 0.7% |
| 生まれた日 → 7日目 | +67% | 5.3% | 1.0% |
出生体重100gの子猫で言い換えると、こうなります(さきほどの中央値101gに近いので、この重さで計算します。%からの換算です)。
この表を見て意外だったのが、最初の2日の線が +1.1%、+1.7% と低いことです。100gの子で1〜2gです。
よく見かける「1日10〜15g増える」という目安とは、ずいぶん違います。この研究の平均は1日 9.5%(100gの子なら約9.5g)なので、10g前後という目安は平均としては合っています。ただ 平均と、危ないラインは別物 なんです。
ただ 「平均より少ない」と「危ない」は別 なんです。平均は「よく育っている子がどのくらいか」、線は「ここを割ると危ない」。別のものさしです。
ここは強めに書いておきます。
この線、亡くなる子を全部は拾えません。論文には線の性能も載っていて、生まれた日から2日目の線が拾えたのは、亡くなった子のうち28%だけでした(感度0.28)。
言いかえると、亡くなった子の7割くらいは、この線を越えていた ということです。
なので使い方はこうなります。
数字は警報であって、お守りではないんですよね。
逆に言うと、最初の2日でマイナスになったら、そこがラインです。研究も「生まれた日から2日目までのあいだに体重が減った、または増えなかったことは、出生体重にかかわらず死亡のリスク因子だった」と書いています。
体重が減っていた子の割合は、こうでした。
最初の1〜2日に減る子はめずらしくありません。でも1週間後に減っている子は、この集計では出てきませんでした。
ただしこの「0%」、額面どおりには受け取らないでください。理由が2つあります。
ひとつは、この研究が分析の前に 極端な値を除外している こと(統計でよく使う手順です)。大きく減った子は、そこで落ちている可能性があります。
もうひとつは、7日目に測れなかった子は数に入らない こと。7日より前に亡くなった子は、この0%の中にいません。死亡の82%が生後21日までに起きていることを思うと、ここは大きいです。
なので「1週間で減る子は存在しない」ではなく、「普通に育っていれば、1週間後に出生体重を下回ることはまずない」 と読んでください。結論は変わりません。生後7日前後で出生体重を下回っているなら、様子を見る状況ではないです。
このセクションで分かること:小さく生まれた子の数字と、追いつけるのかどうか

5,504匹のうち 1,075匹(19.5%) が、その猫種の基準より軽く生まれた子(低出生体重)でした。5匹に1匹くらいです。
この「軽く生まれた」の基準は 猫種ごとに決められていて、ペルシャとノルウェージャンでは当然ちがいます。なので雑種の子猫では、猫種別の表は使えません。
ただ、同じチームが前の年に出した論文に、猫種を問わない数字 がありました(Mugnier ら、Animals、2023年。5,596匹・15猫種)。
60gを切って生まれた子は、2匹に1匹が2か月までに亡くなっています。 小さい子を保護した方には重い数字ですが、知らずに「様子を見よう」となるよりはいいと思って書いています。この子たちは、最初から集中的な世話が要る側です。
雑種の子猫なら、この82gと60gを目安に使ってください。
この子たちの死亡率は、正常な体重で生まれた子の4.4倍(19.2% 対 4.4%)。はっきりした差があります。
小さく生まれた子は体のエネルギーの蓄えが少なく、低血糖と低体温を起こしやすい と論文も書いています。
線そのものが違います。こちらのほうが高めです。
| 期間 | この線を下回ると要注意 | 下回った子の死亡率 | 上回った子の死亡率 |
|---|---|---|---|
| 生まれた日 → 1日目 | +1.3% | 32.5% | 12.9% |
| 1日目 → 2日目 | +8.6% | 23.3% | 7.9% |
| 生まれた日 → 2日目 | +9.5% | 27.9% | 9.7% |
| 2日目 → 7日目 | +42% | 28.4% | 5.9% |
| 生まれた日 → 7日目 | +58% | 36.6% | 5.4% |
線を下回った子の死亡率が、どれも3割前後。重い数字です。
ひとつ添えておくと、これはキャッテリーで人の手がかかっている環境での2か月間の数字です。そして下の2つ(7日目の36.6%と、2日目→7日目の28.4%)は、それぞれ71匹・81匹から計算されたものなので、数字の幅はかなり広いと思ってください。
ここは明るい話を書かせてください。
この研究、もともとは「小さく生まれた子は、あとから追いつけるのか」を調べたものでした。結果、小さく生まれた子のほうが、生後1週間の増え方が正常体重の子より 速い という結果が出ています。
そして増え方が上のほうだった子(下から25%より上に増えた子)は、死亡率が 正常な体重で生まれて増えが悪かった子と同じくらいまで下がって いました。
ただし、著者はここに2つ留保をつけています。
ひとつ。増え方が速かったのは、人が手をかけた結果かもしれない。小さい子には授乳の介助やミルクの補助が入りやすいので、そのぶん増えた可能性がある、と書いています。
ふたつ。いちばんよく増えた子でも、正常体重の子の多数よりは死亡率が高いまま でした。著者の言い方は「増やすことは損失を減らせるが、お腹の中での成長の遅れを帳消しにはできない」。
ただ、ひとつめの留保は読む側からすると朗報です。増えたのが人の手の結果なら、手をかける意味がある ということなので。出生体重は変えられませんが、最初の1週間にやれることはある。そう受け取っています。
このセクションで分かること:測り方の作法と、増えないときの最初の一手

この記事は体重の話なので、哺乳のやり方そのものは書ききれません。ただ 知らないと体重以前の問題になる ことが4つあるので、先に置かせてください(Veronesi & Fusi、Journal of Feline Medicine and Surgery、2022年 という、保護・シェルターの現場も想定した総説があります)。
① 猫用ミルクを使ってください
牛乳や人間用の粉ミルクはNGです。成分が違いすぎて下痢を起こし、脱水で弱ります。ペットショップやドラッグストアで買える 子猫用ミルク を使ってください。夜中で手に入らないなら、朝まで白湯でつなぐほうがまだましです。
② 仰向けで飲ませない
人間の赤ちゃんのように仰向けにすると、気管に入ります。腹ばいのまま、頭を少し持ち上げて飲ませてください。哺乳瓶を押して出すのもNGです。鼻からミルクが出たら、その場でやめて下を向かせます。
③ 排泄をさせてあげる
生後3週くらいまでの子猫は、自力でおしっこ・うんちができません。ぬるま湯で湿らせたコットンやガーゼで、授乳のたびにお尻のまわりを軽くトントン してあげてください。
これ、体重の話にも直結します。出ていなければ、そのぶん体重に乗ります。 増えているように見えて実は溜まっているだけ、ということが起きます。
④ 冷たい子を、急に温めない
冷えた子猫は急激に温めると体に負担がかかります。湯たんぽやペットヒーターをタオル越しに使って、ゆっくり 温めてください。じかに当てるとやけどします。そして温まるまでミルクは飲ませない。冷えたままだと消化できません。
ここから先は、体重の測り方です。

100gの子猫で1〜2gを見る話なので、1g単位で表示されるキッチンスケール が要ります。5g単位や10g単位だと、この判断はできません。
測り方のコツはこうです。
成猫の体重の測り方は 猫の体重の測り方|抱っこ法の誤差と3つのやり方 にまとめていますが、新生子猫は抱っこ法では誤差が大きすぎるので、直接のせてください。
体重が増えないと、つい「もっと飲ませなきゃ」と思います。でも順番が逆になることがあります。
体が冷えた子猫は、ミルクを消化できません。 冷えたまま飲ませると、お腹に溜まってしまいます。
なので増えないときは、まず体が温かいかを確認してください。耳や肉球ではなく、お腹や脇に手を入れて、ひんやりしていないか。冷たければ、飲ませる前に温めます。
⚠️ 猫の体温については 猫の体温の測り方|平熱38〜39℃と受診が必要な数字 にまとめていますが、あの記事の受診ラインは成猫向けです。新生子猫には当てないでください。 生まれたての子猫は体温調節ができず平熱そのものが低いので、成猫の基準だと正常な子を緊急と判断してしまいます。新生子の体温は、数字より「お腹が冷たくないか」で見て、冷たければ病院に相談するのが安全です。
脱水の見かたは 猫の脱水の見分け方|つまむ場所と歯ぐきの見かた にまとめています。
母猫のそばにいる子猫の話です。
生まれたばかりの子猫は免疫をほとんど持っていなくて、母猫の初乳から抗体を受け取ります。ところが 腸から抗体を吸収できるのは、生まれて12〜16時間まで(Chastant-Maillard ら、Reproduction in Domestic Animals、2017年)。
この窓は短いです。生まれてすぐの子が母猫に吸いつけていないなら、「明日様子を見よう」ではなく、その日のうちに動物病院に相談してください。
このセクションで分かること:こちらは1日単位で慌てなくていい、という話

ここからは、自分で食べている子猫の話です。
生後2か月を過ぎると、増え方はゆるやかになっていきます。生後5か月あたりからは食べムラが出る子もめずらしくありません。1日や2日、体重が横ばいでも、それ自体は異常ではない です。
見るのは数字より体つきのほうです。
この見方(ボディコンディションスコア)は 猫の適正体重|肥満チェックと「1歳のときの体重」 でくわしく書いています。
とくに「食べているのに増えない」は、量の問題ではないので、フードを増やしても解決しません。
体重が減る場合の見方は 猫の体重が減った|食欲別に見る原因と受診の目安 にまとめています。
5,504匹を調べた研究では、生後1週間の1日あたりの増え方は平均9.5%でした。出生体重100gの子なら、1日あたり約9.5gです。よく言われる「1日10〜15g」は、平均としては合っています。ただし平均を下回ることと危険なことは別で、受診ラインはもっと低いところにあります。
最初の1日で減る子は、両日とも測れた4,459匹のうち11.4%(544匹)いました。めずらしくはありません。ただし2日目も減り続けている場合は別です。研究では「生まれた日から2日目までに減った、または増えなかったこと」が死亡のリスク因子として挙がっています。2日目で出生体重に戻っていないなら、その日のうちに相談してください。
生後3週までは毎日測ってあげてください。この時期は1日単位で変わります。生後2か月を過ぎたら、週に1回で十分です。
1g単位で表示されるキッチンスケールで大丈夫です。100gの子猫で1〜2gを見る話なので、5g単位や10g単位だと判断ができません。深めの容器を先に乗せてゼロ合わせしてから使うと、動いても測りやすいです。
死亡率は正常な体重で生まれた子の4.4倍で、そこは事実です。ただしこの研究の主題は「追いつけるかどうか」で、答えは追いつけるでした。小さく生まれた子のほうが最初の1週間の増え方が速く、線を上回って増えた子は、死亡率が大きく下がっていました。
順番はこうです。まず 体が温かいか。冷えていたらタオル越しの湯たんぽでゆっくり温めます(急に温めない)。冷えたままだとミルクを消化できません。
次に 猫用ミルク を用意してください。牛乳や人間用の粉ミルクは下痢を起こすのでNGです。飲ませるときは仰向けにせず、腹ばいのまま。
そして 授乳のたびにお尻を刺激して排泄 させてあげてください。3週未満の子は自力で出せません。
体重は毎日同じ時刻に測って記録を。そのうえで、生まれて間もなさそうなら、その日のうちに動物病院へ。初乳の抗体を吸収できる時間が12〜16時間しかないので、ここは急ぎます。
生後3週までの子猫で、次のどれかに当てはまるときは、様子を見ないでください。
新生子猫は体のエネルギーの蓄えがほとんどないので、飲めない時間が続くと低血糖になります。ぐったりして反応が鈍いときは、それが起きている可能性があります。意識がはっきりしない子に無理に飲ませると誤嚥するので、口に入れるより先に電話してください。
大人の猫のように「もう少し様子を見る」が効きません。半日で状況が変わります。
症状が続く・繰り返すようでしたら、必ずかかりつけの動物病院に相談してくださいね。素人判断は禁物です。
子猫の体重について調べて出てきたのは、こんな結果でした。
数字をいくつも並べましたが、覚えておいてほしいのは3つだけです。
2日目で出生体重に戻っていなければ、その日のうちに相談する。
増えないときは、飲ませる前に体が温かいか確かめる。
そして 牛乳ではなく猫用ミルクを使う。 体重の話の前に、ここでつまずく人がいるので。
線を越えていても、元気がない・冷たい・飲まないなら、数字に関係なく病院です。数字は警報であって、お守りではないので。
※本記事に掲載している画像の一部は、Google Geminiで生成した画像をそのまま使用、または編集・加工して使用しています。生成された内容は目視で確認し、整合性に問題がないことを確認したうえで掲載しています。
猫と犬と暮らす毎日に、
ちいさな発見を。
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